◆【楽天】リックが球団初の首位打者確定
楽天も恐ろしいよなぁ、首位打者及び3冠投手を抱えながら最下位争いしてるんだもん。
まぁセ・リーグにも首位打者・最多安打及び本塁打王抱えながら
争うまでもなく最下位な球団がありますが。
◆東出無双
(天涯の森さん)
見事に覚醒した結果がこれだよ!!
◆水曜どうでしょう風のテロップを作ろう
(制作のしおりさん)
早速作ってみたが……雑筆店の方完全に字が潰れてるなぁ
無駄に角数多いんだもん
◆天体戦士サンレッド
すでにもうあちらこちらで今期No.1との呼び声が高いですが
納得した。
ちょっと原作買ってくる
◆散桜-空の下-さん ランドセルようじょぱんつ
綿、だな(*´Д`)
◆今どきの女子に聞いた“絶対付き合いたくないアニメのサブキャラ”決定版
(カトゆー家断絶さん)
>「性格悪いしハゲてるもん」(ムスカ)
お前、なんてことを……
それにしてもこのアンケート回答者の分かって無ささはとんでもないなあ
◆初音ミクコスプレ。ただし男子[CEATEC2008]
(Tentative Nameさん)
これは有りだと思う。
◆「コカ・コーラの避妊効果」研究にイグ・ノーベル化学賞
(さざなみ壊変さん)
すぐに洗っちゃったら問題ないというあの超理論を本当に調べたんすか
◆これじゃあ飛ばせない!相撲協会が九州場所で新型座布団
(everything is goneさん)
確かに投げにくいかもしれんが、
投げた時の危険度は今までより格段に増してるだろコレ
◆「超地味」自民・細田幹事長の絶叫にどよめき
(--潜行中--さん)
ああ見えて官房長官時代にもなかなかファンクな物言いしてた記憶あるなー
◆歯科助手の女の人って何で頭におっぱい当ててくるの?
(メールフォームからひろさん)
こないだ行った歯医者ではおみ足見せてくれた分
「当ててんのよ」サービスは御座いませんでした
◆ソマリアの「海賊」に対し米露欧が“共同戦線”…軍艦続々派遣
(メールフォームからひろさん)
バルチック艦隊まで出てくる事態とな
◆韓銀砲
(メールフォームからひろさん)
なんという豆鉄砲
◆あーらーしをっ!
(メールフォームからひろさん)
不覚にも手が動いてしまった件
◆ほんとにプレステ3買ってくれるの!?
(メールフォームからひろさん)
カーチャン、俺を養子にしてくれ
◆犯罪「いやぁぁ//////犯さないでぇー///////」
(夢幻工房さん)
何を食ったらそんな才能が身に付くんだお前ら
◆鳥取は梨と砂丘だけではなかったっ!!!
(ねたミシュランさん)
これ絶対公道走れないわな
◆私信電信・メールレスー
洋服のはるやまの女子大生が作ったスーツCMを見て、
はるやまが青山に勝てない理由がよく分かった気がする今日この頃。
・メールフォームから。
>『先月の四国来訪レポが載っておりますが、名前違うよ、順じゃなくて純だよ俺』
>実名ばれてんじゃないの?
バレるもなにも、煉瓦さん私の本名知ってますからね。
つかはちよんオフ参加者辺りには普通にバレてますかなー、本名。
あとプレゼントキャンペーン当選者の方とか。
◆人生は「過程」か「結末」か?(小説執筆者募集!!)
(ツキノツバサさん)
とのエントリーが興味深く、且つ
カミナさんの作品を読んで創作意欲が刺激されたので
バババーっと書きなぐってみました。まぁ本企画の方じゃ既に締め切られてるので
うちに載せるだけですが、無駄に長くなったし結局オチを付けないと気が済まない性分が災いして
滅茶苦茶な内容になってしまったので、うちだけに留めておいてむしろ正解かなぁと。
とりあえず以下がそれですけど、
こういう時
『続きを表示する』といったブログの機能が恋しくなります
・綺麗な夢だけ見ていたい
午前10時半、2時間目の授業が始まってから既に三十分が経とうとしていた。
教壇に居るべき数学担当の中年禿の姿は未だ無い。いつもなら授業開始2分前には出席を取り始める鬼教師なのに。
しばらくすると、学年主任の男が教室に入ってきた。
「あー、連絡遅れて申し訳ない。斎藤先生は今日学校に来られていません。なのでこの時間は自習。あまり騒ぐなよな」
そう言い残して立ち去る角刈り。しかし教室内には大したざわつきも起きず、彼の言葉通り、皆静かに自分の席で大人しくしている。まぁ自習も2時間連続となると飽きてくるのだろうか。
と言いつつ先ほどの英語の時間の自習時も、教室内の雰囲気は今と大して変わらないものだった。敢えて違いを挙げるとするならば、教室にいる生徒の数が2〜3名少なくなっている程度か。
……普通なら1人でも生徒が無断で居なくなっていれば、それだけで大きな騒ぎになる。しかし先に述べたように、教室内は至って静かなものだ。それは何故か。
1時間目の時点で既にクラスの半数以上が無断欠席をしているんだ、今更1人や2人居なくなろうが、誰も気にやしまい。
今日は本当におかしな日だ。
「また自習だな」
隣の席の山田が話しかけてくる。
「ホントみんなどうしちゃったんだろうな。こんだけ人休んだら学級閉鎖と同じじゃんか」
「だな」
「つか実際4組なんて誰も教室に来なかったらしいぜ。今日って日曜日じゃないよな?」
「だな」
「だなってお前、人の話聞いてるか?」
「ああ聞いてる聞いてる。不思議だなー分かんないなー」
「何だよそのまるで感情が籠っていないセリフ」
抑揚の無い俺の言葉へ山田が不満げにつっこむ。
別に今の状況に興味が無いわけではない。むしろどういうことなのか不思議で堪らない。しかし今の俺の大脳新皮質の大半は、それ以上の大きな疑問で占められていた。
「……なあ山田」
「ん?」
「今日は日曜日じゃないけれど……昨日は火曜日じゃないよな?」
「は? いや……違うな、水曜日だ」
「水曜……」
週の真ん中水曜日、当然平日であり授業は平常通り行われる。
しかし、だ。俺には昨日、学校へ行った記憶が無い。
と言うよりも、俺には昨日の記憶が無い。
火曜の夜、いつものように深夜バラエティを見た後、午前1時過ぎに床に就いた俺。そして水曜の1時間目はいきなり体育かめんどくさいなぁと思いながら目を覚ましたまでは良かった。おもむろに付けたテレビから『おはようございます、木曜の朝です』と聞こえてきた時から、全てがおかしくなったのだ。どのチャンネルに回してみても、今日が水曜日だとは誰も言ってくれないし、携帯を開いてみると、日付の横には「THU」と表示されている。親にも確認したものの、何寝ぼけたことを言っているんだと、改めて今日が木曜日であることを主張された。
しかし俺には、昨日学校へ行った記憶が無い。正確に言えば、火曜の夜に床に就いてから木曜の朝に目を覚ますまでの約30時間の記憶がスッポリ抜け落ちているのだ。まさか丸一日眠り続けたなんてことは無いだろうと、再び親に事実関係を確認してみると、母は可哀想な子でも見るような眼をして、普通に学校へ行って普通に帰ってきたと証言してくれた。頭がおかしい子とでも思われてしまったのだろうか、いや、事実おかしくなってしまったのかもしれない。
とりあえず母の言うことを信じるならば、学校へ行けば何か分かる筈だ。そう思い俺は、念のため水曜日の授業で使う教科書類も鞄へ詰め込んで登校してきたのだった。
しかしいざ登校してみると、どういう訳かクラスメイトの大半が無断欠席しており、しかも教師までもが学校に来ていない。
当然これはいったいどういうことだと疑問に思うのだが、これまたどういう訳か、教室内はそんな質問など一切受け付けられないという空気で支配されていた。
何と言うか、死んでいる。
登校している僅かな生徒たちの顔からは、まるで生気が感じられないのだ。
皆一様に人生に絶望したかのような表情で無言のまま自分の席に張り付いているものだから、先の質問はおろか、気軽に声を掛けることすらためらわれるのが現状。そんな訳で、俺の記憶喪失の詳細についても、手がかりひとつ掴めないでいた。
ただ、唯一の例外がこの山田と言う男。こいつとだけは普段と何も変わらない具合に話をすることができる。
何故ならこいつも俺と同じで……昨日一日の記憶がまるまる失われているから。
「携帯見ないと昨日の日付が分かんないんだもんな。で、学校来てみたら更にコレ。あーもう訳わかんねーよ」
俺の思っていることをそのまま代弁してくれる山田。加えて頭を掻き毟るというアクションまで付け足して。
「……ん、なんだこれ」
と、山田の手が止まる。
「……たんこぶ?」
たんこぶ……だと?
「ちょっと見せろ!」
「っていきなり何だよ」
「……見事にふくらんでるな。お前、どこかで頭打った記憶は?」
「記憶って、いや……無い、な。また抜け落ちているのかもしれないけど」
「……見てみろ」
そう言って俺は回れ右して山田に後頭部を向ける。
「見てみろって、何を……あ」
「朝起きたらできていた。俺もこんなトコロ打った記憶はどこにも無い」
「……」
「もしかして俺とお前の記憶喪失、原因は同じところにあるのかもな」
結局3時間目も古文担当の教師が来ず、そのまま明確な理由も告げられぬまま学校は臨時休校となった。告げられぬままと言うよりは、告げなくても皆分かっているよねといったような塩梅で。事実、教室の中で学年主任の説明に疑問符を浮かべていたのは、俺と山田の二人だけであった。
それぞれ家路に就く表情の無いクラスメイト達。だがしかし、このまま何も分からないまま家に戻っても気持ち悪さが残るだけなので、俺は山田と行動を共にすることにした。まあ行くあてなどどこにも無く、ただ適当に学校付近をぶらついているだけなのだが。
「それにしても静かだな。気味が悪いや」
「ああ、車通りも極端に少ないし……」
山田の言うとおり、街はしんと静まり返っていた。平日の昼間なんてこんなものなのかもしれないが、それにしたって静か過ぎる。まるでゴーストタウンにでも迷い込んだような気分だ。
「……ん?」
しばらく歩いていると、そんな凍てついた街に似合わぬ情景が目に映った。
「何だあの人だかり」
より近づいてみると、それは人だかりと言うよりは行列であり、しかも並んでいる人々は皆、先ほど俺たちが教室で見たクラスメイトと同様に死んだ表情を浮かべていた。
「……神社、だな」
行列は、通学路沿いにある神社の境内から伸びてきているようだ。
「ここってこんな有名な神社だっけ?」
「とりあえず行ってみよう」
赤鳥居をくぐり、境内に入る。石畳はそのまま真っ直ぐ本殿へと伸びているが、行列はその途中で折れ、本殿脇の仮設テントの方へと向かっていた。
「……なぁ、アレ」
山田の呼びかけに無言で頷く。
俺たちの視線はテントの入り口に掲げられた毛筆書きの紙に注がれていた。
『記憶消します 三列に分かれてどうぞ』
表の案内通り、列はテントに入る直前で三つ又に分かれている。そして初詣の時にも見たことないような人だかりが、運動会などでよく使う小さなテントの中に押し込まれていた。
「あ」
そんなテントの横から、見知った顔が出てきたことに気付く俺。
上下学校指定の長ジャージを着た小柄なその娘は、俺のみならず山田もよく知っている人物だった。
「神田さんだ」
クラスメイトの神田さん。そう言えば学校では見かけなかったな。
彼女はその足で少し離れた場所にある水飲み場へ向かい、柄杓で水をすすっている。その表情は、列に並ぶ人々とは違う、普通の人間の表情で。
……あれならまともに話ができそうだ。
「おーい、神田さーん」
「え?」
先に走って行った山田の呼びかけに振り向く彼女。そして俺たちの姿を確認するなり、少し驚いたような顔を見せた。
「あれ、お二人さん、どうしてここに……?」
「それは俺たちも同じセリフ。神田さんこそどうしてこんなところに?」
「どうしてって、私はただ自分の家にいるだけだけど」
「え、家ってこの神社?」
「う、うん。二人には教えたと思ったけど」
「いや、初耳だなぁ……。お前知ってたか?」
「何を?」
「神田さんがこの神社の子だって話」
……いや、そんな話は聞いた記憶が無い。山田の問いかけに俺は首を横に振った。
「あー……そりゃ知らなくて当然だわ。二人に話したの昨日だもん」
「え?」
二人一斉に神田さんの方へ顔を向ける。
「うわっ、ビックリした。な、なによ急に」
「い、今何と?」
「いや、私が神社の娘だって話したのそう言えば昨日だったなーって」
「昨日? 神田さん、俺たちの昨日を知ってるの?」
俺たちの昨日、我ながら妙なセリフだと思ったが、彼女はそれだけで俺の言わんとすることを理解してくれたようで。
「まぁ私と会った時以外のことは知らないけどさ……」
「じゃあそれだけでいいから、俺たちが昨日何をしてたか教えてくれない?」
今度は山田が話し出す。
「いやな、妙な話なんだけどさ、俺たち昨日一日の記憶がまるで無いんだよ。
で、その原因を探るべくウロウロしてたらちょうどここにやってきてさ。
別に大したことじゃなくてもいいから、何か覚えてるなら教えてくれないか?」
しかし神田さんは答えない。難しい顔してうつむいている。
「神田さん……?」
それから更に数秒の沈黙を経て、神田さんはゆっくりと顔をあげた。
「……本当に知りたいの?」
「え?」
「思い出すのが嫌だからって折角消した記憶なのに、本当に思い出しても構わないの?」
「え、消した記憶って……」
そこで俺は、先ほど見た光景を思い出した。
『記憶消します』
「……まぁいいわ、とりあえず着いてきて」
神田さんの後を追い、通されたのは彼女が出てきたテントの中であった。
そこには座布団が3枚敷かれており、神主らしき恰好をした男が3人、手に板のような物を持って立っている。そして各列先頭の人間が座布団の上に正座し、その後頭部目掛けて神主の男が……
「うわぁぁ」
見ているこっちが思わず声をあげてしまう。
ゴチンと鈍い音を響かせながら、男たちは人々の後頭部をしばき上げていた。
「……これ、何?」
「何って入口に書いてある通りよ。みんなの記憶を消してるの」
あっけらかんと言い放つ神田さん。
「確かに傍からはただ頭を叩いているだけに見えると思うけど、これは神田家に代々伝わる秘法で……」
以降神田さんによる『記憶消去術』の説明が5分近く続くが、長いので割愛。
要約すると、1000年も昔から神田家はああやって笏で人々の後頭部を叩いて、一日なり一週間なりといった具合である一定期間の記憶だけを消し去る技法を継承してきた。それはある意味『秘孔』を突くようなモノで、消したい期間の長さによって、叩く位置及び角度、強さなどが変わってくるんだとか。
また、記憶は叩かれた瞬間に消えるのではなく、叩かれた後最初に眠った時点で消えるらしく、翌朝目覚めるとその一定期間の記憶だけが抜け落ちている、といったことになるそうで。……正に今朝の俺と同じ状況になる訳か。
そして、どこで聞きつけたのかその記憶消去を求める人間が昨日から異常な勢いで押し寄せて来たため、伝承者が総動員された。神田さんもその一員として昨日から学校を休まされており、今は束の間の休憩時間だという。
「……まぁ俄かには信じられない話だけど一応理解した。でも何でまたこんなにも記憶を消しに来てる人が大量にいるんだ?」
そんな山田の疑問に、神田さんはより一層強い口調で問い返す。
「本当にそれを知りたいの? それを忘れるために二人は昨日記憶を消したのに」
「え、じゃあ今ここに集まっている人等と俺たちの記憶を消したいっていう理由は……」
「同じよ。まぁ実際にあなたたちの口から直接そう聞いたわけじゃ無いけども、『どうしても忘れたいことがある』と言った時のあの表情、これ以外の理由は考えられないわ」
そう断言した後、弱々しくポツリと漏らす。
「……できることならば、私も早く忘れてしまいたい」
「え?」
「だけど私たちのこの力は、きっとこの日のために継承されてきたモノだから……」
「……そんなに皆が一斉に消したがる記憶って、天変地異でも起きるのか?」
「えっ……」
「それこそ震度7とかの大地震が起きて日本沈没だとか……」
「やめとけ」
俺のセリフは山田のひとことに遮られた。
「折角忘れられてるんだ、それ以上余計なことは考えるな」
「山田……?」
「……思い出しちゃったんだね。ゴメン、私喋り過ぎちゃった」
「いや、確かにある程度思い出したことには思い出したんだが、まだ何かが歯の隙間に挟まってるようなスッキリしない感じでな」
「スッキリしない?」
「……神田さん、その消した記憶を蘇らせることって出来ないのかな?」
先ほども見せた無言の反応を返す記憶消去術の伝承者。しかし山田は怯まなかった。
「まぁ確かに忘れたい記憶なのは間違いない。何も知らないまま終わった方が幸せなんだろう。だからこそこうして多くの人たちが記憶を消しに来てるんだと思う。……でもさ、こうしてちょっとだけ思い出してしまった以上、変な疑問を残したまま終わりたく無いんだ。全てを清算し終えた上で、俺は死にたい」
「……」
「……だけどやっぱりそれが消し去りたい記憶だったら、もう一度記憶消去お願いしちゃうかも知れないけど」
「プッ」
笑った。神田さんが可愛らしい笑みを浮かべた。
「まぁ、いざとなればそういう手もあるね。分かった、特別に戻してあげる」
「よっしゃ!!」
今度は山田が歓喜の笑みを浮かべた。そして、二人の視線が俺の方に向けられる。
「お前は無理して俺に付き合ってくれなくてもいいぞ。まだハッキリと思い出したわけじゃないんだし」
「いや、すぐにまた消せるんなら俺も思い出したい。やっぱり気になるしな」
苦笑い。これが俺の浮かべられる精一杯の笑みだった。
「……分かった、じゃあ二人とも思い出すってことで」
そう言ってキョロキョロと辺りを見渡す神田さん。
「とりあえず本殿の裏で待ってて。すぐに用意して行くから」
男2人、薄暗い社殿の裏で待ちぼうけという画は筆舌に尽くし難い絶望感がある。
しかしそこに現れた神田さんの姿には、この鬱屈した空気を一発で吹き飛ばしてしまう力があった。
「み、巫女装束……」
お互い生唾を飲み込む音が聞こえてきた気がした。
「な、なによ……これが儀式の際の正式な衣装なんだから」
「……で、消した記憶を元に戻す方法ってどうやるんだ?」
心なしか山田の声は震えていた。
「まぁ記憶消去術って言っても、厳密にはその記憶を消し去ってしまう訳じゃないの。ある意味パソコンのスリープ機能のようなもので、一時的にその記憶を呼び出せないようにしてるだけ。だからそれを呼び出せるようにすればいいのよ」
「いや、それをどうやって……」
「これよ」
そう言う彼女が右手に握るのは、先ほどの男たちが持っていたのと同じ笏。
「単純に記憶を消した時と同じ刺激を与えるの。そうすれば読めなくなっていた記憶が再び読めるようになる。今度は一晩待たなくてもいいわ。叩いたその場で記憶が戻るから」
「お、同じ刺激……」
再び山田の喉が鳴る音が聞こえてきた。
「じゃあ二人ともそこへ座って」
「ハ、ハイィ!」
「何声裏返ってんだよ山田」
……かく言う俺も、少しばかり興奮しているのだが。
そして、俺たちの背後に神田さんが立つ。
「……もう一度聞くけど、本当に思い出してもいいのね?」
「ああ。仮に再度忘れることが出来なくても、不完全な記憶のままでいるよりはマシだしな」
つい先ほどまで鼻の下を伸ばしていたかと思えば、途端に真面目な表情になる山田。
「……分かった。あなたは?」
「お、俺か? ……俺も山田と同じだ。後悔しない」
若干場の空気に流されたとの思いは無くもないが、基本的には俺も山田と同じ考えだ。どんな記憶が思い出されようが、全て受け止めよう。それも含めて俺の人生なんだから。
「……強いね、あなたたちは。みんながみんなこうだったら、私たちもこんな忙しくならずに済んだのにね」
顔こそ見えないが、声色から判断するに、きっと優しい微笑みを浮かべているのだろう。
「それじゃあ……行きます」
次の瞬間、刺すような痛みが後頭部を走った。
そして俺は昨日の記憶を全て思い出した。
と同時に……己が判断を悔いた。
2×××年××月××日(水)
米国航空宇宙局は、月とほぼ同じ大きさの遊星が地球に向かって光速で接近していると発表した。高速ではなく、文字通り、光速。光の速さで接近して来たため、発見が手遅れなまでに遅れてしまったのだ。
遊星Xが地球に衝突する確率は98.45%。正面衝突すれば、間違いなく地球は滅亡する。衝突予想時刻は、日本時間の翌××日(木)。映画みたくシャトルで爆薬設置に向う余裕などどこにも残されていない。そもそも相手は光速で向かってくる月。人類にできることといえば、地球を外れてくれる1%そこらの確率の奇跡を願うことだけだった。
明日世界は滅亡するというこの衝撃的な一報は、瞬く間に世界中を駆け巡った。余りにも突然な話に、大予言の時に流行ったような略奪なども殆ど起きず、まるで世界全体が思考停止してしまったような状況に陥った。
そして運命の木曜日。せめて平穏な最期をと、全てのマスメディアから地球滅亡の話は黙殺された。人々も自ら進んでこの話をしようなんて者はごく僅かしかおらず、日本人にしてみると、昨日の記憶さえ無ければ、高い確率で何も知らぬまま世界の終りを迎えることができるのだった。
「どうせ死ぬなら何の前触れもなく突然死んだ方がいい。こんなこと考えるの日本人くらいだろうね。……二人とも、思い出した?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ちょ、ちょっと!! だから散々念押ししたのに……」
「違う、違う!!」
「違うって、え……どういうこと?」
「死ぬのはいい、別にいい! むしろ死にたい!! いや、でもこんな記憶残したまま死にたくねぇー!!」
「あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「だ、だから何がどうしたって言うのよ!?」
世界滅亡の一報は、水曜日の俺たちの耳にも当然飛び込んできた。
そして俺たちは絶望した。明日死ぬこと、いや、明日童貞のまま死んでしまうことに咽び泣いた。
だったらせめて童貞を捨ててから死にたい。そう思ったが残念ながら受け身な俺たちには女の子を誘ったり襲ったりする勇気などどこにも無く、となるとお互いが初めてを捧げられそうな人物は、それぞれの眼前にいる人物で……
「殺して! この悪しき記憶を殺してえええ!!」
そんな俺の願いが聞き入れられる間も無く、太平洋にズブリと突き刺さった遊星Xはそのまま地球を貫通。
世界は爆ぜた。