season Z

◆第19話 『特命』

脚本:輿水泰弘 監督:和泉聖治
ゲスト:及川光博 前田吟 日野陽仁 苅谷俊介 宮本真希 伊嵜充則 やべきょうすけ


この内容を最終回に持ってくるとは。
あまりにも救いの無い展開に、今回の話は好き嫌いが両極端に分かれるだろうなぁー
脚本書いたの迷宮案内の西岡さんかと見間違うくらいにエグかったです。
櫻井氏の残した『暴走する杉下の正義』を輿水風に解釈するとこんな恐ろしいことになるのか。
最早それは正義でも何でもない気もしますが。そんな今回のテイスト、私は大好きです。

新相棒 神戸尊
先々週辺りから事前情報は出ていたものの、
やっぱ実際に見てみないことには何も言えんなぁと思って登場第一回目。
……これはこれでハマり役、かもなぁ。官僚臭さが随所に漂う、自信過剰で運転の荒い新相棒。
薫ちゃん卒業の理由として挙げられた『マンネリ感の打破』はどうやら実現できそうね。

と同時に、これで杉下右京と亀山薫による『相棒』は本当に終わってしまったんだなぁ。
右京さん自身も「君は亀山くんの代わりにはなれませんよ」と断言してますしね。
当然見る側もそれは求めちゃいないこと。仮に神戸が薫ちゃんと同じようなキャラならば
演者を変更した意味なんてどこにも無い訳ですし。
これから始まる杉下右京と神戸尊による『相棒』は、
今までの相棒とは全く別物として捉えるべきモノかなと個人的には考えてます。

……あ、成程。そう考えると今期の全てに合点が行った。
やっぱり究極の目標は『マンネリ感の打破』であり、
その準備のために丸々1シーズンを使いきったという話ですよ。たぶん。
ただでさえ大きな反感を買った亀山薫の卒業、そこから間を置かずに即新相棒投入となれば
余計に旧来からのファンを敵に回すことになるので、1クッションとして片棒状態を置いた。
でここ数期言われ続けてきた「相棒がいなくても右京さんだけ居ればいいんじゃない?」
それを実際に行って見せ、これでも本当に右京さん1人で行けるのかと
逆に見てる側の新相棒待望論を煽り、晴れて神戸尊の投入に相成った、と。
……まぁ相当うがった見方ですけどね。
それだけこれまでの片棒期が個人的にはガッカリだったということで。

で、神戸の登場時期も何で次期初回では無く今回なのか。
これも憶測でしかないですけど、多分冒頭の警察庁のお偉方の発言
『半年くらい探ってこい』ってのが関係してくるのかなーと。
今から半年って相棒夏期はやりませんからね。次期開始時にはもう半年は過ぎている。
それでも神戸は何故に特命に居るのだろう……てな展開になるのかなぁ。
一応特命の監視という触れ込みですけど、何か今回を見てる限りガチ左遷くさいですし。
まぁとりあえず半年後を待てって話ですかねー……
って、畜生、一時は視聴切ることも本気で考えてたのに、
今ではすっかり時期への期待を抱かせている。制作側の思うツボだわこりゃ。

前半1時間と後半1時間でまるで雰囲気が変わる2時間SP
右京さんと神戸の掛け合い及び村人らの下手な小芝居で、前半だけ見てると
なんだ今期のネタ回は前回じゃなくて今回だったかと思ったりもしましたが、
後半に入って雰囲気は一変。事件自体は何にも大したことない話でしたけども
今回の肝はまるで口を割らない被疑者をどう落とすか、そこに焦点が当てられた回であり
そこで杉下右京の異常なまでの正義へのストイックさが際立たされた訳です。
これまでは身内及び権力を持つ者にだけ向けられてきたそれが、
こんな田舎の一般市民にまで及ぶようになり、正義の暴走は止まるトコロを知らないなと。
「こんな人間と長らく相棒を続けてきた亀山薫はどのような人物だろう」
日記に記す神戸ですけれども、仮に今回薫ちゃんが同行していたら、
お人好しな分確実に心が折れてたと思う。それくらいに今回の右京さんは容赦無かったです。
真実なんて明らかになったところで、生者の誰も報われないもんなぁ……

あと蛇足じゃないかと賛否も分かれるであろう最後のキーちゃんの事故ですけど、
個人的には有って大正解だったと思う。右京さんの容赦無さをより際立たせたり、
また人間やっぱり何かしら汚い面は持ち合わせているということを示す意味でも
なおちゃんの保護責任者遺棄罪は決して蛇足とは思いませんでしたけどね。
つか本音を言うと鬱エグい展開大好きな私の好みに合っただけという話ですけれども。

以下【見所ダイジェストー】
・SPなのに空撮スタートじゃない!!
でも結局空撮はありましたけども。

・特命行の通告に動揺する神戸
しかし事前情報でエリートとは聞いてたけど
まさか警察本庁の企画課長補佐なんて新聞に辞令が載るレベルのガチエリートとは。
そら動揺もするわな

・神戸に自己紹介する角田課長が無駄にカッコ付けてた件
一言『角田だ』と。そして二言目には『で、何しでかしたんだ?』
いきなり直球過ぎるよ課長。そして組織論をテキトーに語る。

・内村部長らの反応を見て、ああこれガチ左遷だなぁと思った

・GT−Rを乗りこなす神戸
ド田舎に黒く輝くボデーが映える。

・神戸と対峙する右京さんの様子に、1期2期頃の面影が
あのつっけんどんとした右京さんが帰って来た!!
折角薫ちゃんに丸くしてもらったのに、片棒期間中にまたスレちまったのかなぁ

田舎の村で聖書を売り歩く男・杉下ケイブ(英国出身)

・窓際部署として有名な特命係
田舎の駐在にまで知れ渡ってるのだから大したもんよ

・なにはともあれ、なおちゃんがエロい件。
ムチムチスーツ姿……すんげぇ見たかった。
それと何故入浴シーンをカットした(普通カットするよ

・杉下ケイブと言い争い廊下で地団太神戸尊。
『あんん!!』とかいちいち反応が面白いわ君

医者の健診がどう見てもコントな件
やむなくとはいえあれで病死と判断したらそらヤブ呼ばわりされても文句は言えねえ

・小池の駄目息子・福助の演技がとにかく素晴らしい
ここまで完璧なドラ息子を演じるには相当な演技力が要りますぜ。
それに息子に限らず村人全員田舎臭い演技が最高に素晴らしくて。
皆の名演があったからこそ今回のクソ鬱な展開がより生きてきたんです。

・でも福助の運の悪さは本物だろうな
世の中にごまんとある元々見過ごされている犯罪のうちのひとつが
たまたま右京さんの目に止まってしまったわけで、そういった意味では運が無いなと。
まぁ仮に無事何も知らず保険金だけ受け取っていても、また同じ道を辿るだろうので
誰も救われない結末とは言いましたが実際は結果オーライなのかも知れませんけど。

・キーちゃんが初めて描いた動物以外の細密画
……真夜中に見てたらチビッてた思う。


【今日のいたみん】


右京さんを追ってひょっこり現場に姿を見せた神戸尊。
そこで捜一と初対面と相成りましたが何か無性にニヤついてたいたみん他一同。
握手する際もわざとらしく目を合わして無かったですし。
で、揃いも揃って尊が読めずに『カンベソン』と。

その後、右京さんを追って事件を横取りしようと馬頭刈村に姿を見せる捜一さん。
一足早く旅館に着いたため、後に戻ってきた右京&神戸を
『おかえりなさいませ、特命係のご両人』とお出迎えする構図に。
以後も神戸から何が起こってるんでしょうかクイズを出題されたりと
そんな特命と正面衝突することも無く過ごしてましたので、
本格的な神戸との(敵対的な)絡みは今回はありませんでした。
やっぱりアレ今後「特命係の神戸尊」と言うようになるのかねぇ



旅館で主人の帰宅を待っていた『ソンちゃんの執事』

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